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B2B の「現代化」をはかる、米大手ホームセンターの戦略:しのぎを削るホーム・デポとロウズ

b2b-の「現代化」をはかる、米大手ホームセンター

米大手ホームセンターであるロウズ(Lowe’s)とホーム・デポ(Home Depot)は、少数ながら収益の大きいB2B事業のさらなる成長に取り組んでいる。両社ともB2B事業の主体となっているのは、契約業者への販売だが、それぞれの成長戦略は異なっている。

ホーム・デポは同社が「プロ」カスタマーと呼ぶ、業者向けに新たなウェブサイトの構築を進めている。このウェブサイト上では業者がさまざまな面で便利に利用できるように新サービスの追加や統合が行われる。一方、ロウズの場合、昨年5月にCEOに就任したマービン・エリソン氏の指揮のもとより価格競争力を強化し、店舗内での体験を改善して取引を迅速化し、とりわけ価値の高いブランドの誘致を進めるという形でプロのカスタマーの獲得を目指す。

昨年秋にハーバード大学のJCHS(Joint Center for Housing Studies、家庭教育支援センター)が発表した研究では、アメリカにおける住宅リフォームの消費は、2019年に冷え込むと予想されている。住宅ローンの金利上昇およびアパートの販売増がその理由だ。これに対処するため、ロウズとホーム・デポは、もっとも高価値なカスタマーであるプロの確保に取り組んでいるのだ。

収益の大半はB2B

ホーム・デポの広報担当は、米DIGIDAYに対して企業は同社の顧客基盤のうち4%に過ぎないが、収益の46%を占めていると回答している。ロウズの広報担当は、収益の20から25%がプロのカスタマーによると回答している。両社とも5月第4週に行われた2019年度第1四半期の業績発表のなかで、プロのカスタマーからの売上の伸びが「DIY」の一般カスタマーより大きかったとしている。

ピュブリシス(Publicis)の最高商業責任者、ジェイソン・ゴールドバーグ氏は「我々は両社ともB2C中心の企業と捉えがちだが、実際のところB2Bからの収益が非常に大きい」と語る。

ロウズやホーム・デポは、ほかの特定分野の小売業者ほどAmazonによる圧力を受けていない。販売商品にカスタマーへ直接配送するには大きすぎるか高価すぎる商品が多いためだ。特に業者は材木やコンクリート、電気配線等を大量に購入する。だが業者は、大半の個人事業主と同様、以前は手作業で行っていた請求書の提出をはじめとする一部業務に、多数の自動化ソフトを利用している。

ITを伸ばすホーム・デポ

ホーム・デポもプロのカスタマー向けの新しい専用サイトでこうした側面を重視している。同社が2〜3年がかりのプロジェクトとして、プロのカスタマー向けウェブサイトの作成を最初に発表したのは2017年12月のことだった。ホーム・デポのCEO、クレイグ・メニア氏は5月21日に行われた業績発表のなかで、新サイトに登録したプロカスタマーの数が13万5000に達したと発表しており、今年中に登録数100万を目指すとしている。

同社の社外販売およびサービス部門のエグゼクティブバイスプレジデントを務めるビル・レニー氏は、今四半期にウェブサイトへ経理ソフトウェアのクイックブックス(QuickBooks)の統合を追加したと発表している。次の四半期の最大の焦点は、プロのカスタマー向けに以前同社が作成した購入カードをウェブサイトとリンクさせ、カードのポイントを実店舗とオンラインの両方で使えるようにすることだという。さらにホームページにパーソナライズされたおすすめ商品が掲載されるようにページの再設計を行っているとのことだ。

レニー氏は「取引における手間をなくすほど、カスタマーとの取引が増えるというデータがある」と語る。

またホーム・デポは最近工具のレンタルサービスをプッシュしているが、同サービスを利用するプロのカスタマーを増やそうと取り組んでいる。メニア氏によると、工具レンタルを利用したことがあるプロのカスタマーは90%にも達するが、ホーム・デポのレンタルサービスを利用したのはそのうち4分の1程度しかいないとのことだ。そしてレンタルサービスを利用したカスタマーの方が使用額が大きい傾向があるという。

ロウズは店舗改善を重視

一方ロウズは、プロのカスタマーを増やすため商品と店舗内での体験の改善に取り組んでいる。ロウズが昨年5月にエリソン氏のCEO就任を発表したとき、同社の売上は成長していたものの、市場シェアはホーム・デポとよりもかなり少なかった。それはいまでも変わっておらず、ロウズの2018年度の売上686億ドル(約7.5兆円)に対し、ホーム・デポは1009億ドル(約11.9兆円)だった。

エリソン氏と同社役員は、業績発表のなかで2018年度は小売における基礎的な部分への投資を重視していたと語っている。リフトテーブルを追加し、駐車場のトラックを増やすといった形で、プロのカスタマーが荷積みをしやすい環境を整えた。

また、ここ数年で獲得したクラフツマン(Craftsman)をはじめとする一流ブランドをより前面に押し出して展示するよう改善すると語っている。デパートのシアーズ(Sears)で販売されていたクラフツマンの工具だが、2017年からロウズで販売する契約を結んでいる。

B2Bは信頼構築が要

ゴールドバーグ氏は、ホーム・デポとロウズがこれからも証明しつづけなければならない点として、業者に提供する信頼できるサプライチェーンの確立だと指摘している。たとえば業者であれば、一般的なカスタマーよりも店舗内で何が売られるか、より詳細な情報が必要になる場合も多い。

「(プロ向けの)サプライチェーンは、非常に複雑だ」と、ゴールドバーグ氏は語る。「B2Bのカスタマーにとって、たとえば購入したい下塗り塗料が当日置いてあるかではなく、次の火曜日に購入できる状態にあるかを知りたいといったケースがある」。

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